olympic-athletes-eda#
近代オリンピック全大会(1896 アテネ 〜 2026 ミラノ・コルティナ)の 選手個票 31 万行を R で読む。

同じ大会・同じ種目・同じ性別の中で(メダリストの平均身長 − 非メダリストの平均身長)を取り、 競技ごとに分布として見た図。大会内で引くので時代による大型化は相殺される。 読み方は レポート に。
概要 — 何を分析したか#
観点の大分類ごとに。各見出しは レポート の該当節へ飛ぶ。
🏃 からだとパフォーマンス#
体格や体型が勝敗にどう効くか。同じ競技・同じ大会の中で比べる。
- 体格はメダルに効くのか — 同じ種目の中で、身長・体格は勝ちやすさに効くのか
- 競技は体格の平面上に並ぶ — 競技の“間”の体格差
🌍 国とメダル#
どの国がどこで強いか。夏冬を分け、公式メダル表で見る。
- 冬季に全てを賭けている国 — 総合順位からは見えない偏り
- 開催国の特権を使い切ったのは誰か — 自国開催でどれだけ伸ばしたか
🧑🤝🧑 選手というキャリア#
一人の選手が五輪とどう関わるか。
- 五輪に何回出られるか — 出場回数と選手寿命
🕰️ 競技と参加の歴史#
何が実施され、誰が参加してきたかの移り変わり。
- 消えた競技、現れた競技 — 芸術競技・綱引きから新競技まで
- 女子種目を「足して」きた — 男子を削らず女子を足す形での均等化
🔭 これから#
- 次に掘るべき問い — 未着手の分析候補
🌐 https://gghatano.github.io/olympic-athletes-eda/
見どころ#
競泳のメダリストは、同じ種目で競った相手より 4cm 背が高い#

競技ごとの体格差ではなく、同じ競技の中で背の高さが効くのかを見た図。 種目構成と時代の影響を落とすため、身長を種目 × 性別 × 年代のセル内で 標準化してから比べている。40 競技中 26 競技で差がはっきり出た。
競泳が突出する一方、体操と重量挙げだけが逆を向く。 どちらも身体を回す・持ち上げるためにテコの腕が短いほうが有利な競技で、 方向が一致している。
選手は大型化したが、大会の中でのメダリストの高さは変わらない#

上の図が種目 × 性別 × 年代で標準化したのに対し、もっと素朴なやり方 ——同じ大会・同じ種目・同じ性別の中でメダリストと非メダリストの平均身長を引く ——でも同じ結論に届く。出場選手全体の身長は半世紀で伸びているが、 大会の中で測ったメダリストの差はほぼ一定に留まる。全員が大型化しても相対的な差は 動かないので、大会内で引き算をすれば時代の影響が消える。競技ごとに差を分布として 見た図は レポート 1 章 にある。
冬季に全てを賭けている国と、冬季が存在しない国#

ノルウェーは自国メダルの 7 割強が冬季。キューバ・ギリシャ・ケニアは 冬季メダルが 1 つもない。通算メダル数の順位表は夏季の物量に支配されるので、 この違いは総合順位からは見えない。
開催国特権を最も使い切ったのは 2002 年ソルトレイクシティ#

開催国がメダルを増やすこと自体は驚きではない(出場枠が自動的に与えられ、 実施種目の選定にも関与できる)。面白いのは使い切り方の差のほうで、 上位 5 大会のうち 4 つが冬季だった。
69 競技のうち 18 競技はもう実施されていない#

芸術競技(1912-1948)では絵画・彫刻・文学・音楽・建築にメダルが出ていた。 綱引きも 1900-1920 は正式競技。
データ出典#
| パッケージ | olympicAthletes 0.5.10 |
| 配布元 | CRAN(install.packages("olympicAthletes")) |
| 原典 | Olympedia.org |
| 規模 | 315,094 行(選手 × 大会 × 種目)、157,377 人、56 大会、69 競技、1,270 種目 |
| ライセンス | パッケージの LICENSE に従う |
CSV は同梱していない。パッケージから都度ロードする。
パッケージのサイトには「GitHub からのみ入手可」と書かれているが、 2026-08-01 時点で CRAN にも公開されている。CRAN 版を使う。
読むときの前提#
このデータは年代によって性質が変わる。全期間を一括で扱うと、 実態ではなく記録の整備状況を分析してしまう。
| 分析対象 | 使える期間 |
|---|---|
| 参加者数・性別 | 全期間 |
| 国別メダル数 | 全期間(公式 medal_table を使う) |
| 選手データからのメダル集計 | 1896-2016 |
| 身長・体重・BMI | 1960-2016 |
夏季と冬季は必ず分ける。 参加国数も種目数も桁が違い、 1994 年以降は開催年もずれるため、合算すると分母が混ざって意味を失う。
根拠と、集計時の落とし穴は データの癖 にまとめた。
再現#
Rscript run_all.R # 図を生成
Rscript tests/check_claims.R # 本文の数値を検証
詳細は 開発。