case01(仮名加工情報): 情報特性の評価 — 3/7¶
加工方針を決める前の下ごしらえ。順序が大事です。まず ① 委員会規則(施行規則第31条=仮名加工情報の作成基準)で「必ず削除・置換する項目」を確定し、その上で ② 情報特性の観点から、自主的に(予防的に)どこまで加工するかを考えます。用語は 用語集 を参照。
見るポイント① 委員会規則(施行規則第31条)— まず必須の加工を確定する¶
仮名加工情報では、次のいずれかに当たる記述等は、情報特性に関わらず削除(置換)が規則で必須です(施行規則第31条=仮名加工情報の作成基準)。まずここを満たします。
- 第1号: 特定の個人を識別できる記述等(例: 氏名)
- 第2号: 個人識別符号(例: マイナンバー、生体データ)— 本事例には該当なし
- 第3号: 不正に利用されると財産的被害が生じるおそれのある記述等(例: クレジットカード番号)
「特定できる」から必須なのではない — クレジットカード番号の例
クレジットカード番号は、それだけでは「誰か」は分かりません(単体での識別性は低い)。しかし不正に利用されると財産的被害が生じるおそれがあるため、第31条第3号により削除が必須です。「識別できるから削除」ではなく「財産的被害のおそれだから削除」——必須になる理由が情報特性とは違う点に注意してください。
見るポイント② 情報特性(誰が特定されうるか)— その上で自主的に判断する¶
①で必須の項目を落としたうえで、残りの項目を情報特性の観点で見て、予防的に(自主的に)加工するか・どの粒度まで粗くするかを、分析上の必要性と合わせて判断します。
- 直接識別子: 単体で個人を特定できる(例: 氏名)。
- 準識別子: 単体では特定できないが、組合せで特定につながりうる(例: 生年月日+性別+住所)。
- 本人到達性: その情報で本人に連絡・到達できる(例: メール・電話)。単体では「誰か」までは分からないことが多い。
- 結合キー性: テーブル・履歴の結合に必要(例: 会員ID)。
- 機微度: 特定された場合のプライバシー影響の大きさ(加工設計の補助指標)。
(情報特性の見立ては、①の当てはめ——たとえば「そのメールアドレスは氏名等を含み識別できるか(第1号)」——の判断にも使います。)
チェック結果(項目別)¶
① 第31条の該当(規則で必須) を先に確定し、② 情報特性 を突き合わせます。第31条に当たる項目(上の3行)は、分析に使いたくても削除(置換)が必須。それ以外は情報特性から、分析上の必要性と合わせて加工方針を判断します(次ページ)。
| 項目 | 第31条の該当(規則で必須) | 情報特性の分類 | 単体での識別性 | 結合キー | 機微度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 氏名 | 第1号 | 直接識別子 | 高 | ― | 中 |
| 電子メールアドレス | 第1号(識別できる場合) | 本人到達性 | 中(氏名等を含めば高) | ― | 中 |
| クレジットカード番号 | 第3号 | 財産的被害のおそれ | 低 | ― | 高 |
| 会員ID | ― | 内部管理識別子 | 低 | ○ | 低 |
| 生年月日 | ― | 準識別子 | 低(組合せで高) | ― | 中 |
| 性別 | ― | 準識別子 | 低 | ― | 低 |
| 郵便番号 | ― | 準識別子 | 低 | ― | 低 |
| 住所 | ― | 準識別子 | 低(組合せで高) | ― | 中 |
| 携帯電話番号 | ― | 本人到達性 | 低 | ― | 中 |
| Cookie ID | ―(個人識別符号ではない) | オンライン識別子 | 低 | ○ | 中 |
| 購入年月日・品目・数量・金額 | ― | 行動・履歴 | 低 | ― | 低 |
| アクセス日時・閲覧カテゴリ | ― | 行動・履歴 | 低 | ― | 低 |
チェック結果のまとめ: まず第31条で必須の 氏名(第1号)/電子メールアドレス(第1号・識別できる場合)/クレジットカード番号(第3号) を確定します(個人識別符号=第2号は本事例に該当なし)。その上で、残りの項目を準識別子・本人到達性・結合キー性から見て、自主的に(予防的に)加工方針を判断します。
→ この「① 規則で必須 → ② 情報特性から自主的に判断」の評価を、次の 加工の設計 で「分析にどれだけ必要か・どの粒度が要るか」と突き合わせて決めます。